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男爵令嬢のグレースは、不安に押しつぶされそうになりながら、パン屋の扉を叩いた。借金の山を残して父親が亡くなり、住み慣れた屋敷を追い出され、働かざるを得なくなったのだ。もはや結婚も望めないだろう……。下働きにも慣れ始めたある日のこと、グレースはパン屋の常連で、変わり者の老侯爵と友人になった。そして思いがけない遺産を託される。居心地のいい屋敷と十分な手当、それから戦争で捕虜にされているという侯爵の子息を──。グレースは遺言に従って子息を迎えに行った。予期せぬ運命が待ち受けているとも知らずに。
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- 頁数
- 384頁 / 文庫判
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- 発行日
- 2015年04月15日
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- 著者
- カーラ・ケリー
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- 訳者
- 佐野晶
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- 定価
- 906円(税込)
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- ポイント
- 0pt
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- 発送
予定日 - 2015年04月03日(予定)
- 発送
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- ISBN
- 978-4-596-91628-0
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- 書籍番号
- MRB-628
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モニター
こんな時代にこんな二人が実際にいたのかも、そして恋に落ちてしまったのかも…。健気なヒロインと荒削りのヒーローが煌びやかなヒストリカルとは一風変わった真実の恋の物語を見せてくれます。思いあう二人の姿が感動的です。
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モニター
カーラ・ケリーの心癒される物語。村人たちの優しさや元男爵令嬢の悲しみ、ヒーローの苦しみが丁寧に描かれています。しかも作中のパンのおいしそうなこと! が、そのなかでうっすらとした謎がだんだん積もり積もっていきます。とても楽しめました。
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モニター
落ちぶれてしまった男爵令嬢グレースにはこれでもかといわんばかりに試練が降りかかりますが、前向きにとらえ懸命に生きようとする姿は読んでいて応援したくなります。そんな中、愛する男性に出逢いながらも不運な時代の波に巻き込まれ翻弄されていきます。周囲や悲運のせいにすることなく愛する人を信じて待ち続けるところに彼女の強さを感じました。時代背景も分かりやすく描かれていて一気に物語に引き込まれていきます。
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akabee
恋愛小説という枠をはるかに超え、西洋世界の歴史や身分制度、当時の人々の感覚や生活ぶりがリアルに描かれていて、何重にも楽しめる作品! ヒロインやヒーローの設定や彼らに関わる登場人物、特にストーリーをガラリと変えた敵側の役柄設定は見事。グレースとロブが苛酷な運命を強く逞しく、ユーモアたっぷりに生き抜く姿や、村人たちの温かさに何度も力をもらった。クライマックスの緊張感とストーリー展開のテンポのよさは絶妙。
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りの41
時代は19世紀初頭。戦争があると人間の心も、もちろん恋もままならず、理不尽なことが起こり、それも我慢しなければならないことが辛いなと感じました。主人公は芯のある強い女性だなぁと思いました。戦争や借り暮らしの身等不遇に見える環境すらバネにしていく逞しさはすごいなぁと感じました。そんな主人公が恋に落ちた時の葛藤がよく描かれており、物語としては後半に向かい展開が早くハラハラドキドキしました。読み応えのある一冊でした。
大学でラテン・アメリカの歴史を学ぶ。歴史的な興味から、西部開拓時代を舞台にした短編を執筆したのち、英国摂政期のロマンスを手がける。執筆活動の傍ら、今も歴史の研究を続けている。RITA賞を2回受賞するなど、権威ある賞の受賞歴も多数。さまざまな階級の人々の暮らしを温かな目線で描き、圧倒的な支持を得ている。大学教授を引退した夫とともにアメリカのユタ州に暮らす。