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美しきヴェネシアは偏屈な父のせいで社交界デビューしないまま25歳を迎え、田舎の屋敷を切り盛りしている。いずれ跡継ぎの弟が戦地から帰還して妻を娶れば、肩身の狭い思いをするだろう。だが、求婚者たちはうんざりするほど退屈で、結婚など考えられない。将来を案じながら散歩していたとき、見知らぬ男がふいに声をかけてきた。隣家の当主“不埒な男爵”に違いない。頽廃的な雰囲気は放蕩者という噂どおりだ。ほほえんで近づいてきた彼にどぎまぎしていると、突然唇を奪われた。非難を浴びせて逃れたものの、胸はざわめき……。
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- 頁数
- 496頁
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- 発行日
- 2010年10月15日
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- 著者
- ジョージェット・ヘイヤー
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- 訳者
- 細郷妙子
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- 定価
- 985円(税込)
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- ポイント
- 0pt
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- ISBN
- 978-4-596-91432-3
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- 書籍番号
- MRB-432
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モニター
両親のせいで世捨て人同然の生活を送るヒロイン。ヒロインには周囲が勧める数ある求婚者がいましたが、毅然として求婚者たちを断り、ヒロインが自分自身で最後に選んだのが放蕩者と呼ばれるヒーロー。いい面も悪い面もすべてを受け入れて結婚相手に選んだところに大人のロマンスを感じました。周囲に惑わされることなくどんな環境にいても自分を見失うことがないヒロインに共感を覚えながら読むことのできた作品でした。
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モニター
偏屈な父や障害をもつ毒舌な弟、気の合わない求婚者など、今作も舌を巻くような個性ある登場人物たちで楽しませてくれました。社交界にデビューできなくとも不埒な男爵との出会いでヴェネシアは輝き、途中ミセス・スコリエの登場にはイライラしますが、独特な皮肉や古典を用いた会話のやり取り、ユーモラスな表現とさすが巨匠といった世界観を味わえました。「金色に輝く豊潤な秋の気配」漂う季節にぴったりです!
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モニター
この作者の前作2作品にも共通するのですが、とにかくヒロインが前向きに生き生きと描かれています。ヒロインは25歳。変わり者の死んだ父親や、障害のある下の弟、戦地にいる後継ぎの弟らの代わりに家を切り盛りしていて、この時代ではやや行き遅れな感じです。このまま結婚もせずに生きていくのか・・・と思っているところに、ヒーローと出会います。
今回のヒーローは、最初の出会いから結構積極的! な放蕩者。でもヒロインの正直で純真無垢な心に触れるにつれ、自分の過去の出来事などもあり、放蕩者の自分は相応しくないと、一旦は身を引こうとするのですが・・・。ここからヒロインが、持ち前のポジティブ思考で自ら幸せをつかもうと頑張っていきます。登場人物が割合と多めですが、一人ひとりの性格を丁寧に描いていて、ヒーロー、ヒロインの恋愛以外の人物描写も楽しめます。 -
モニター
25歳なのに世間知らずで無垢なヴェネシアが、不埒な男爵ダマレルに出会ったことで運命が動き始めます。 お茶目でユーモラスな二人の会話には思わず微笑んでしまいます。38歳の大人の男のダマレルの態度がとてもいいです。でも二人が結ばれるには問題があり、読んでいて切なくなりました。ヴェネシア自身が大人の女性へと成長する姿を、がんばれ!と応援したくなります。
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モニター
ジェイン・オースチンを彷彿とさせる、正にヒストリカルの王道でした。身勝手で自己中心的な人たちのなかで育ちながら、純粋で素直なヒロインと放蕩者のヒーローが周囲から反対され、引き裂かれどうやって結ばれるのか。弟からおしつけられた大迷惑には本当に腹が立ちます。ヒロインの行動力にはただただ脱帽。登場人物の心中もきめ細やか表現され読み応えのある作品です。
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モニター
偏屈な父親のせいで、田舎から出たことがなく、世間知らずで、行き遅れてしまったヴェネシア。才色兼備で、前向きな性格は、とても好感が持てます。求婚者達や周りの人たちも個性的。人の意見に流されず、自分の意志をきちんと持って、自分の人生は自分で切り開こうとするヴェネシアがとてもステキです。秋の夜長にじっくり読みたい長編です。
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モニター
この作品は1958年に出版されました。まだ、生まれていない方も多いのではないかしら。でも、古びたイメージはありません。ジェイン・オースティンのように古風な雰囲気があります。ヒーローのダマレル卿は魅力的で、ヒロインのヴェネシアは生き生きしています。登場人物達の会話の軽妙さには、思わず引き込まれてしまいます。もうっ! もうっ! これは何なの! と何度つぶやいてしまったことでしょうか。皆さんもお楽しみください。
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モニター
ヒロインが知的で前向きなので読んでいて楽しかったです。他人の善意ほど厄介なものはありませんね。そんな窮地に立たされてもヒステリーにならずに善処しようとする姿に感動しました。やっぱり一番役に立つのは知性なんですね。私も見習いたいです。唯気になる点が一つ、「ばーか」を連発するのはイラつきました。もっと他に翻訳できなかったのでしょうか?
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モニター
凄い! 面白すぎる王道ロマンス。50年以上前に書かれたとは思えないテンポの良さとストーリー展開。放蕩貴族が本当の愛に目覚めていく物語は多々ありますが、ヒロインの純真さと自分との年齢差に悶え苦しみ苦悩する展開はありそうでなかった新鮮ヒーロー。映画のようにシーンが目に浮かび、台詞の面白さにニヤニヤ笑いが止まらない。脇役も強烈個性で、ヒロインの求婚者たちはトコトンなお間抜けぶり。放蕩貴族&純真ヒロイン好きにはたまらない一冊です。
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モニター
リアルな人間描写で読み応えがあります! ヴェネシアとダマレルのじれったいほどの恋模様が、弟のオーブリーの辛口コメント、ナースのしきりっぷり、ミセス・スコリエの横暴さ。これ、コメディーだっけ?と思うほどの面白さ。2人の恋は苦しい時代背景にあってなかなか展開しないのだけど、ヴェネシアを取り巻く人々の巻き起こす事件(?)が少しずつ絡まって最後にその時代ではありえない(?!)行動に出るヴェネシア。圧巻です。
1902年英国生まれ。74年に死去するまでに約60作の著作を発表。綿密な時代考証に基づき、リージェンシーをはじめ英国の歴史を舞台にした恋愛小説を多数著した。ロマンス小説家のほとんどが彼女の作品を愛読し、強い影響を受けたと語り、現代のヒストリカル・ロマンスの原型となった。機知に富んだ会話、個性豊かな人物造形は出色で、今でも世界中のファンの熱は冷めることがない。