本日ご紹介するのは、中世イングランドを舞台にした『禁じられた思い』。若き女領主の苦渋の決断からはじまるこの物語は臨場感にあふれ、ロマンスはもとより英国の歴史を知る上でもお楽しみいただけること、請け合いです! 1067年春、父と兄を相次いで亡くしたローズは、ノルマン人騎士団が迫り来る中、領民の命を守るためにやむなく領地を明け渡す決意をします。しかし、国王ウィリアム1世は、騎士団長とローズが結婚するようにとの勅命をだして……。 実はこのウィリアム1世、物語が始まる少し前の1066年12月25日にイングランド王に即位したばかり。しかも、フランス王の臣下でもあったのです。もともとフランス王臣下ノルマンディー公子息(フランス名:ギョーム)の彼は、庶子であったにも関わらず運よく家督を相続。さらには、世継ぎのいないエドワード懺悔王の死後、イングランドに攻め入って半年もしないうちに勝利を収めてしまったとか。なるほど「征服王」と呼ばれただけのことはありますね。 また、この物語で描かれているように、旧支配勢力のサクソン貴族の土地を奪い、それを家臣に与えてイングランドに封建制度を確立。土地台帳をつくって税制度を定めたり、大司教の対立に関与してイングランド宗教界を治めたりと、運と腕っ節が強いばかりではなく、かなりの頭脳派でもあったようです。 ちなみに現在もエリザベス女王がよく週末を過ごしているというウィンザー城は、ウィリアム1世が建てて12世紀にヘンリー2世が改築したもの。いまも人が住める城としては最大級で、床面積は約45,000平方メートルもあるというからちょっと想像できませんよね。 何はともあれ、英国王室の開祖といわれる征服王ウィリアム1世がスタートさせたノルマン朝初期の雰囲気と、荒々しい御代に誇り高く咲いたローズ薔薇のいばらの恋の物語を、たっぷりとご堪能ください。きっと、あなたの心にヒストリカルの新しい魅力が花開くことでしょう!!