今までは、ノーラ・ロバーツの作品は現実離れしたファンタジックなものが多いというイメージを持っていましたが、今回は舞台が湖畔のホテルということで現実感のあるお話でした。今回の話の面白い点は、ヒーローとヒロイン二人の絡みのみに焦点を当てずに、ヒーローの愛人風の第三者(熟女のインテリアコーディネーター)を登場させることで、若いBJの嫉妬心に火をつけさせて、展開を一進一退にさせて面白くさせているというのが印象的ですね。軽めの愛憎劇が好きな方は楽しめるのではないかと思います。最後はいつものハーレクインらしく、読者の期待を裏切らないハッピーな素敵なエンディングなので、一読してみるのもいいでしょう!

ホテルの支配人を務める小柄な24歳のヒロインB.Jがとてもキュート!　すぐむきになるけれど、無邪気ではつらつとしてまるで妖精のよう。ホテル支配人としては臨機応変に対応でき、皆に愛されている本当に素敵な女性です。ヒーローが彼女に惹かれる気持ちがよくわかりました。一方、ヒーローの人物像は、他の作品に比べあまり深く描かれてなかったかも。でも、彼女の若さと対比され、大人の余裕、大人だからこその切望が印象的でした。

ヒーローもヒロインも自身の欲望に対し、理性を保とうとする行動や会話のやりとりが面白かったです。ヒーローと親しげな女性が登場した時や、ヒロインが違う男性とデートした時には、先の展開にわくわくしました。ヒロインが健気で可愛く、ヒーローがピュアなヒロインを思うが故の自制心には、ヒーローのヒロインに対する、大きな愛を感じ、年上のヒーローらしいリードも感じられ、読み終わった後にはほっこりした気分になりました。

最近は雑誌ばかり読んでいたのですが、久しぶりに読書の楽しさを味わいました。作者はとても風景描写に優れ、読むと頭の中にニューイングランドの美しく豊かな自然が広がり、静かでクラシカルな雰囲気のホテルが現れます。主人公の女性は快活で小柄で……近年言うところの「ツンデレ」ではないでしょうか。怒っていても相手の男性に触れられると弱いらしい(笑)。

ノーラ・ロバーツの作品は今までにもいくつか読んだが、ノーラの初期作品は初めて。ハーレクイン作品の鉄板とも言うべき、ヒロインとヒーローの対立、ライバルが出現した時のお互いの誤解。そして主人公のひたむきさや仕事に対する誠実さ。幾多の苦難を乗えてのハッピーエンドは、ハーレクインならではだろう。初期作品ということもあり、感情の行き違いや誤解を少々繰り返しすぎたような気はするが、ノーラの作品を読んだ後はいつも爽快な気分になる。

ヒロインの支配人として大人の態度と、ヒーローに対する子供のような態度のギャップがおもしろい。ヒーローもプレイボーイのようなのに実際はヒロインと一緒になるために新居まで用意するぐらい好きならさっさと告白してあげればいいのにちょっと意地悪かな。

ノーラ・ロバーツ先生の作品はどれも大好きですが、この作品が一番好きです!　ヒーローもヒロインもとてもキャラクターが面白いです。

B・Jの前に現れたやり手の社長レイノルズはなかなか気持ちの掴みにくい相手で、ホテルを切り盛りするB・Jも初めは邪険にしていますが、だんだんレイノルズに惹かれていき……。B・Jもレイノルズもお互いのようなタイプの異性が新鮮だったのかしら……だんだん意識しあっていく二人の関係にドキドキさせられました♪