ハーレクイン文庫
スペインで修道女見習いをしている身寄りのないトニは、いわれのない差別を受け、つらい毎日を送っていた。ついに園丁の服を拝借した彼女は修道院からの脱走を企てるが、途中、紛れこんだ祭りの喧噪のなかで盗人に間違われてしまい、美貌の貴族ルークの手によりなんとか救われる。トニは彼の船でスペインからイギリスへ向かうことになり、身の安全のため、少年のふりのままルークや周囲の人々を欺いた。だが一方で、ルークへの思いは日々膨らんでいくばかりだった。そんなある日、彼らを乗せた船が嵐に巻きこまれてしまい……。【愛の言葉フェア】
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- 頁数
- 224頁 / 文庫判
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- 発行日
- 2012年11月01日
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- 訳者
- 細郷妙子
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- 定価
- 681円(税込)
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- ポイント
- 0pt
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- 発送予定日
- 2012年10月24日(予定)
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- ISBN
- 978-4-596-93476-5
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- 書籍番号
- HQB-476 (初版R-86)
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モニター
作品全体に漂う、不思議な世界観に魅了されました。作者であるヴァイオレット・ウィンズピアのプロフィールから、年代的に少し古い作品だとわかりました。ヒロインのトニが修道院にいたことや、ヒーローのルークが美貌の貴族で船に乗り海を渡る……とくると余りに古風で、ヒストリカルを読んでいる錯覚に陥ってしまいました。そして激しいラブシーンは一切ないのに、トニとルークの間に流れる空気の艶っぽいこと! 途中二人が禁断の匂いがするような妖しげな関係になっていき、思わずドキドキしました~(優しく紳士なルークが悪魔と呼ばれる由縁がわかるような気がしました)。生い立ちのせいで辛い思いをしてきた純真無垢なトニは、悪魔の衣をまとったルークを天使に変える魔法の力を持っていたのですね……まさに現代版のおとぎ話を読むようでした。
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モニター
つらい修道院から逃げ出しても過酷な目に遭うヒロイン・トニと、ヒロインの窮地を何度も救い、船で連れ去るヒーロー・ルークが、助けを待つ純真な王女と危険な魅力を持つ海賊に思え、時代を超越した物語に感じました。周りからルークは悪魔のようだと聞かされても、一途についていこうするヒロインと、ヒロインを世間からも悪名高い自分からも守ろうとするヒーローの関係に惹きつけられました。
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モニター
描写が写実的でまるで映画でも見ているような気持ちになり、一気に読み終えてしまいました。まず目に止まったのが、原作は1975年に英国で出版されていて38年の歳月を経て邦訳された様ですが、時代を感じさせません。30代半ばの超包容力のある男性と、17歳の厳しい修道院育ちで世間知らずのうえに自分に魅力があることを全く認識していない純情な女の子のシンデレラストーリーです。私は長編が好きなのでページ数が少なくてすぐ読み終わってしまい物足りなく感じましたが、夢見る乙女となってハーレクインの世界に一時でも逃れることができました。
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モニター
二人の出会いはまさに運命です。お互いに後ろめたさを感じているのですが、それが純愛さを高めています。ヒーローがヒロインを呼ぶ名称が少しずつ変わっていき、ヒーローの心情が垣間見える所もポイントです。再度作品を読むことで、二人の思いの深さを色々な所で見つける事が出来るのではないでしょうか。
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モニター
倍ほども歳の離れたヒーローとヒロイン。スペインの修道院で育った、純真で世間知らず(?)なヒロインを、大人のヒーローがしっかりと守ってくれる様子が素敵です。ヒロインの純真無垢さをかけがえのない美しさと感じているんですね。文章や言葉遣いなどからも、クラシカルで上品な雰囲気の漂う作品です。
ロマンスの草創期に活躍した英国人作家。第二次大戦中、14歳の頃から労働を強いられ、苦しい生活の中から“現実が厳しければ厳しいほど人は美しい夢を見る”という確信を得て、ロマンス小説を書き始める。32歳で作家デビューを果たし、30余年の作家人生で約70作を上梓。生涯独身を通し、1989年に永眠するも、ロマンスの王道を貫く作風が今もファンに支持されている。