わたし、妊娠している!　アビーは喜びと混乱の最中にあった。 キャッシュは15歳年上の、なんでも相談できる兄のような存在だった。 けれどあの夜、突然の父の死を受け止めきれず、 ひとり泣いていた彼女を、キャッシュは優しく慰めてくれた。 やがて甘美なムードに包まれ……ふたりは結ばれた。 何があろうと、この子を産みたい。 でもキャッシュに告げるわけにはいかない。妊娠したとわかれば、 彼は責任を感じて必ず結婚を口にするだろう。そんなのはいや。 あの夜を、責任を取るべき過ちだなんて思ってほしくない。 私たちは心のままに、愛を交わしただけなのだから。