「おなかにいるのは、僕の弟の子供だそうだね」 それなりの金額を支払うから、弟の財産相続など求めるな―― マックス・デ・ルーカの一方的な申し出に、リリーの顔は引きつった。 確かにリリーはマックスの弟、いまは亡きトニーの子を宿している。 だがそれは、すでに別れていたトニーに薬をのまされ、 眠っている間に無理矢理された行為の後の妊娠だったのだ。 デ・ルーカ一族とは、金輪際かかわりあうつもりはないわ…… そんな願いもむなしく、マックスは再びリリーのもとにやってきた。 今度は耳を疑うような提案をたずさえて。 “母子の安全を守るため、彼の家で暮らすように”と言うのだ!