その男を見たとたん、セリーナの心臓はぴくりと飛び跳ねた。大手の広告代理店からの突然のスカウト、突然の面接。今、彼女を引き抜こうとしている本人が目の前にいる。「君には僕の人生最大の仕事に携わってもらいたい」そう言った男は、今までセリーナが会ったどの男よりも威厳があり、傲慢で、彼女を落ち着かなくさせた。彼の申し出を受ければ、両親の遺産を使い果たして以来、悩みの種だった妹の学費を払い続けることができる。でも、彼の危険なまでの魅力の裏には何か恐ろしいものがある――そう考え一度は断ったセリーナを、男は執拗に説得した。渋々応じたセリーナが、男に騙されたことに気づいたとき、彼女はもう彼の魅力に抗えなくなっていた。そして、それはまだ始まりにすぎなかった。