ハーレクイン・シリーズ
聖母の住む島
生命(いのち)の水——ウイスキーはボイド一族の血。見知らぬ男に委ねることはできない。
連れが美人であればあるほど、男たちは金持に見えるわ。浜辺の端で下船したカップルを眺めながら、カリスは孤独な自分を痛烈に感じていた。でも、別に裕福な男性が欲しいわけではない。辛い過去を忘れ、赤ん坊と二人、ようやく平和な生活を取り戻したのだ。親元を離れて島に滞在する少年の世話係という仕事も手に入れた。心を閉ざした五歳のジョシュを、島のみんながもてあましていた。でも、同じ苦しみを味わっていたカリスは優しく手を差しのべた。同じコテージで暮らし、子供が一人増えたような気がしていた。そんなある日、とびきりゴージャスなカップルが島に降り立ち、彼らを見たとたん、ジョシュは怯えた表情で逃げ出した。サングラスを外した男の顔は、少年の父親であることが明白だった。彼は同伴者がいるのを忘れたように、熱く燃える目でカリスを見つめた。
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- 頁数
- 160頁 / 新書判
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- 発行日
- 1998年09月05日
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- 著者
- ナタリー・フォックス
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- 訳者
- 金関ふき子
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- 定価
- 671円(税込)
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- ISBN
- 4-8335-4175-0
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- 書籍番号
- I-1175