私の家族を欺く憎むべき人かもしれないのに、どうしようもなく惹かれてしまうのはなぜ?父が経済的苦境に陥っているという知らせを弟から受け、ヘレナは五年ぶりに故郷に帰ってきた。父の再婚相手ビビアンの兄であるテイト・エインズリーが、ありもしない偽の投資話を父に持ちかけたのがすべての原因だという。ところが空港に降り立ったヘレナを迎えたのは、見覚えのあるハンサムな長身の男性-テイトその人だった。一方、父はテイトを信用しきっていて、ヘレナの疑念には耳も貸さない。なんとかテイトが不正を働いている証拠を見つけだそうと努めてみたが、ヘレナはいつしか彼に惹かれはじめている自分に気づいた。だがテイトと二人だけで食事をすることになったとき、別の男との忌まわしい記憶がよみがえり、言い知れぬ恐怖に襲われた。力ずくで奪われそうになった、悪夢のような夜の記憶が……。