イングランドの騎士サー・レイナルフ・ブランドは、行方不明の弟を捜しに対岸のノルマンディーにやってきた。ところが、上陸したとたんに盗賊に襲われて意識を失い、近くのセント・ガブリエル修道院に運び込まれた。高熱と頭部の怪我で危篤状態に陥った彼を救ったのは、夜な夜な現れる天使のような美しい女性だった。きみはだれだ?　わたしのエンジェルなのか?朦朧としながらも、彼は命の恩人の美女に手を伸ばし、キスをした。しかし翌日、修道士にたずねると、修道院に女性はいないという。ああ、あの金色の髪の乙女はまぼろしかもしれない。だが、今も残る花びらのような唇の感触は間違いなく現実だ。弟の行方に加え、謎がまた一つ……いったい彼女は何者だ?