あの有名なイギリス文学の舞台が現代になると、こんな感じになるのですね。登場人物やストーリーはほとんどそのままなのですが、それぞれがアレンジされていて魅力的でした。特にヒロインが小学校の先生というのがいいですね。いろんな誤解が出てしまいますが、最後の最後に素直になってくれてよかった。ヒーローがどんどん優しくなるところも、せつなかったです。『高慢と偏見』を知っている人も知らない人も楽しめる一冊だと思います。

シリーズ担当編集者の一押しと裏表紙に書かれている通り、私も読者としてお勧めしたい、一押しの作品です。この本は「恋に縁遠い彼女をときめかせたのは、高飛車で、皮肉屋で……世にも美しい男。」と帯に書かれているように、ちょっと皮肉で高飛車で嫌な男の話かなと思えるけれど、容姿端麗な男性に心惹かれる小学校教師のリジーの恋物語です。私のツボにはまる設定で、夢中になって読んでしまいました。おすすめです。

傲慢で卑屈なヒーローと凛々しくて気丈なヒロインとのやり取りが痛快です。そしてヒロインに惹かれるヒーローが「これでもか」ってほどに変わっていき、愛の力の素晴らしさを満喫できます。また、他人に頼らずかたくななヒロインが愛を信じて少しずつ丸くなっていくのも嬉しいです。頑張ってきた人は報われるって信じることができる素敵な作品です。

偶然に出会った小さな街で小学校教師をやっている気の強い女性リジーと、高慢で皮肉屋な金持ちのルイス。ルイスは親友の男性が金持ち狙いの女に近づかれているのではないかと疑い、親友とリジーの姉の仲を壊すためにやってきたことを知る。最初はなんて高慢な人なんだろうとあきれていたリジーだったが、少しずつリジーを愛しく思うがゆえに変わっていくルイスの姿が微笑ましいのである。

最後まで楽しく読めました。ヒロインが等身大で、気持ちの揺れにとても納得でき、自分がなりきったつもりで読めて楽しかったです。飾ることのない、普通の女性の気持ちや素直な感情表現が描かれていて、いらいらすることなく読めました。ストレートに好きだと伝える場面がとても大好きです。

イギリスを舞台にしており、ときおりみられるイギリス上流社会の様子がとても素敵だと感じました。各章ごとに語り手が変わるのですがそれが読んでいて飽きさせず面白かったです。ただ、ルイスがあまりにも夢見がちな女性が想像するようなありがちでありえない男性なように思えてしまいました。

身分も性格も正反対な二人の物語。けれどお互い自分にとって大切な姉や親友を思って行動する点は似ているなと思います。相手を意識しだした後も、度重なる問題が二人の関係を時に危うくしたり、近づけたりするスパイスになっていて、展開がとてもドラマティックです。身分の違いから金銭的な事に敏感になるリジーに共感しました。リジーに惹かれ、心や考え方が徐々に変化していくルイスにも大人の魅力を感じます。最後はハッピーエンドで読後感も良かったです。

勝気なヒロインがどう恋に落ちるのか、ドキドキしながら読みました。というのも、相手は高飛車、皮肉屋、かなり傲慢。彼を振り回し、振り回されるヒロインの気持ちが切なかった分、ラストが幸せいっぱいでよかったです。