地中海沿岸の小国でのロイヤルロマンスですが、今回のヒーロー(王子)は、近海の小島で育てられたヨットマン、1年の半分を後悔に費やし、残りはボランティアに従事する心優しい青年です。ヒロインも苦労人のシェフで、一般人同士のロマンスのようでした。惹かれ合う2人を引き離すのは、王国の事情。自由な生活を捨てざるを得なくなった王子の苦悩と、迷いながらも王子を支えようと決意するヒロインを微笑ましく思いました。

借金のあるヒロインと、残酷な過去を持つプリンスのお話です。全体的に爽やかに描かれていて、二人の前には問題が山積みなのですが、さらっと話が進んでいきます。マルキータで航海している二人の場面には、うっとりさせられます。読み終わった後には爽やかな風が吹いている様です。

カフェのシェフがヨットのシェフに??　あっという間に転職したヒロイン・ジェニー。雇ってくれた彼はヨットのオーナーというだけでなく王子だったとはビックリ!　ちょうど某国で王子と一般女性とのロイヤルウェディングがあったばかりなのでこんな短期間で恋に落ちるシンデレラストーリーもありかなと思いました。

まるでおとぎ話を読んでいるかのような、ハーレクインらしさ満点の物語です。“ハッピーエンド”はこのお話のためにあると言っても過言ではないと思います。期せずして王位継承権がまわってきたヒーローはヒロインのために身を引こうとするのですが、心惹かれる気持ちを止められず、キッパリとヒロインと縁が切れません。それでも互いに求めているのに身を引く切なさの中で、ヒロインが思いきる場面はカッコよさを感じました。大団円が大好きな方に是非オススメしたい作品です。

ヒーローが今までの人生を大きく変えなくてはいけない時、出会ったのがヒロインのジェニーです。過去を受け止め、自分の意思ではどうしようもない状況でも最善をつくすヒロインの姿は、過去に囚われがちなヒーローの考えを覆していきます。勇気あるヒロインはとてもかっこよかったです。また文中ではユーモアあふれる二人の会話も楽しめます。