ハーレクイン・シリーズ

伯爵が拾った野の花
道端に行き倒れの娘がひとり。伯爵は捨てる神か、拾う神か──
目が覚めたら、ヘンリエッタは壮麗な屋敷の寝室で横たわっていた。下着姿に、髪は乱れ、あげくに泥のにおいを漂わせている。ふと気づくと、ベッドカーテンの陰に男性が立っていて、そのたぐいまれな美しさを見て、彼女は我が身を恥じた。「ここはどこ?」相手の答えに、ヘンリエッタはうろたえた。そこは彼女が家庭教師として仕える家に隣接する伯爵領だったのだ。つまり彼は、不道徳な噂が絶えない放蕩伯爵レイフ・セント・アルバン。側溝に倒れて気を失っていた彼女を拾って、ここまで運んだという。いったい私の身に何が? このはしたない格好は、まさか伯爵様と……?かたや彼女の疑念を見透かしたレイフは、頭の中で毒づいた。世慣れたこの僕だ、こんな無垢な村娘になど用はない!
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- 頁数
- 256頁 / 新書判
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- 発行日
- 2017年05月05日
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- 著者
- マーガリート・ケイ
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- 訳者
- 日向ひらり
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- 定価
- 906円(税込)
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- ISBN
- 978-4-596-33258-5
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- 書籍番号
- PHS-158
スコットランドに生まれ育つ。グラスゴー大学で法律を学んだが、卒業後は異分野に進み、仕事の傍ら通信制大学で歴史の造詣を深めた。9歳にして詩作コンテストで優勝した才能は、のちに大好きなヒストリカル小説の執筆に発揮され、ミルズ&ブーンからデビュー作が出版された。