<作品34>『砂漠の姫君』

砂漠の姫君

『砂漠の姫君』
著者:サラ・モーガン
定価:710円(税込)
ISBN:978-4-596-12967-3

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【編集部より】
HQロマンスやイマージュで活躍する多才な作家サラ・モーガンが贈る砂漠ロマンス。虐げられて生きてきたライラはラズによって初めて女の歓びを知る。愛のない政略結婚のはずなのに、2人の閨は夜ごと熱くなっていき……。

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天幕の中はむっとするくらい暑く、二人の距離があまりにも近いせいで、ラズの体温が伝わってくる。息がつまるばかりで、次になにをすればいいのか、ライラの頭には思い浮かばなかった。彼にキスをしたほうがいいのかしら?最初に行動に出るのは彼?それとも私?ひょっとして同時に?

知識のなさはごまかしようもなく、立ったままいつまでも自分を見つめているラズに、ライラはとまどいを感じた。すべてはあっという間にすむと思っていたのに、彼はゆっくりと時間をかけるようだ。その手が探索するように髪から頬へと移ると、彼女は落ち着かない気分になった。

下腹部が緊張し、脈が重々しく打つ。

視線をそらしたかったけれど、じっと見つめられているせいでそうすることができない。やがてラズの目が唇に向けられ、ライラはふたたび奇妙な感覚にとらわれた。

「それで、宮殿ではどんなことを夢見ていた?」

夢ですって?毎日、生き延びるだけで精いっぱいだった。妹を守ることだけで。「なんの夢も見たことはないわ。現実に目を向けているほうが好きだもの。具体的な事柄に」

「将来に希望はなかったのか?」

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