<作品24>『ふたりのアンと秘密の恋』

ふたりのアンと秘密の恋

『ふたりのアンと秘密の恋』
著者:シルヴィア・アンドルー
定価:890円(税込)
ISBN:978-4-596-33188-5

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【編集部より】
自分の名前も、顔さえも思い出せない。“記憶喪失”に陥ったヒロインが恋したのは、路頭に迷う彼女に救いの手をさしのべた貴族。お姫さま抱っこされ、ひたと見つめ合う……いつの時代も変わらぬ胸キュンの瞬間!

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だが眠りは、ベッドに横になった娘のところには訪れなかった。彼女はジェームズ・オルドハーストに婚約者がいるという情報にがっかりしていた。無人の荒野も同然の世界で、ジェームズだけが彼女のよりどころであり、安全な避難所だったので、たとえ筋が通らないとしても、彼がだれかと結婚するという考えはどうしても受けいれがたかった。

彼女は目を開けたまま、恩人のことを考えた。ジェームズはわたしに対して優しくしてくれるけれど、もともと辛抱強い性格というわけではなさそうだ。彼は爪の先まで貴族的だし、自信にあふれ、ときおり暴君の一歩手前のような態度を見せることもあった。それでも使用人には愛されているらしい。それに、グレイの瞳には笑みがあった。長身で、たくましくて、髪は黒く、瞳はグレイ、ユーモアのセンスもある。ジェームズ・オルドハーストはとても魅力的な男性だわ。でも……。彼女は自分に言い聞かせた。ジェームズはもうすぐ結婚する身。彼がどんなに魅力的かを考えるのはやめたほうがよさそうだわ。

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