<作品14>『サルド家の兄妹』

サルド家の兄妹

『サルド家の兄妹』
著者:ヴァイオレット・ウィンズピア
定価:本体670円(税込)
ISBN:978-4-596-93597-7

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【編集部より】
ロマンスの草創期に活躍し、翻訳者・編集者にファンも多いヴァイオレット・ウィンズピア。クラシカルな雰囲気漂う詩的な物語は、一度はまると抜け出せません。

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「きみがそう言うのは簡単だ!何がわかる?父に義理があるから多少のおかえしをしようと思って、この島に帰ってきた小娘のくせに」

「そんなことないわ、リック!」

アンジーはベッドの支柱を握りしめる。そうでもしていないと、リックにすがりついてしまいそうだった。そんなことをすれば、木を火に近づけるのと同じになってしまう。でも、そこから生まれるのは、愛の炎ではない。

いまのリックは誰も愛する気分にはなれないだろう。皆を憎みたいと願っているのだから。そして、リックに憎まれることにも、苦痛をやわらげる道具に使われることにも、アンジーはとうてい耐えられなかった。

「それじゃ、なぜなんだ?父は総督で、しかもハンサムだ。父にあこがれてでもいるのか?」

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